「何急に?」

カツヤは少し面食らったようだった。

そりゃそうだよね。

さっきまでキス・・・しようとしてたわけだから。

全く別の話題。

はぁ。

やっぱり私ってどうしようもないよね。

「ま、いいや。前置きとして、俺はナツミさんをめちゃくちゃかわいい女性だって思ってるってことだけは言っておくね。」

カツヤって。

スキがない。

いつだって。

繊細すぎるくらい繊細な配慮をしてくれる頭のいい人。

それが、本来なら嬉しいはずなのに、時々苦しくなるのはなぜだろう。

「これまで、正直結構モテた。そりゃ外見もなかなかかわいい子もたくさんいたし。最初は、有頂天になって、言い寄ってくるルックスのいい子とはちょこちょこ付き合ったりしてたんだけどさ。結局、相手を喜ばせることに夢中になってすっげー疲れてきて。これって、本当の俺じゃないって。それなのに、相手は本当の俺じゃない俺を好きになっていく。これって、全く実を結んでないよね。」

「わかったようなわかんないような。でも、なんとなくわかる。」

「んー。結局、言い寄ってくる相手も俺の上辺ばっか見て寄ってきて、好きになっていくわけでしょ。俺はその期待に応えようと必死になってるだけで、相手を好きっていう感情がどんどん枯れていったんだ。一時、恋愛って一体何なのかすらもわからなくなってさ。」

「うん。」

「そんなとき、一番安心して話ができて自分らしくいられた相手が、ナツミさんだったんだ。」

「そうだったんだ。全く気が付かなかったよ。」

「俺が言うことに真剣に反応してくれてた。俺が間違ったこと言ってたら、本気で怒ってたし、くだらないこと言ったら、お腹を抱えて笑ってくれた。」

カツヤは、私の真意をはかるようにじっと私の目を見つめた。

「こんな女性と、ずっと一緒にいたいなーって。愛されたいなぁって。いつの間にか自然にそう思うようになってたんだ。」

カツヤは、一呼吸置いた。

「でも、ナツミさんはタイスケさんと仲良かったから。」