「安心した?」

カツヤは自嘲的な笑みを浮かべながら、私の顔をのぞきこんだ。

明らかに安堵してる私。

思わずカツヤから目をそらす。

「別に。タイスケなんてどうでもいいし。」

カツヤはため息をついて正面を見た。

「そういうのが、俺一番辛いんだ。」

「え?」

「ナツミさん、俺の目見て話さない時って、無理してる時。」

「そ、そんなことないよ。」

「じゃ、」

カツヤは私の方を向いた。

「キスしていい?」


ドクン。

え?

紫色の空。

おひさまはとっくに沈んで、わずかな空の光がほんのりカツヤの顔の輪郭を映し出していた。

キ・・・ス?


私の答えを待たずに、カツヤの顔がどんどん近づいてくる。

カツヤの息づかいが私の頬に当たる。

少し斜めに向けた顔。

目をぎゅっとつむった。