顔を上げられないまま、校門を出た。

そこでようやくカツヤは私の手をほどいた。

「ごめん。」

小さくつぶやいて、立ち止まるカツヤ。

情けないよね。

どうして、私がこんなに泣いてるわけ?

何がそんなに悲しいわけ?

言葉が出ないままうなずいた。

「いこっか。」

カツヤはそっと私の肩を押した。

私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれてる。

「ハンカチ、ひっく、ごめんね。これ、洗って返すから。」

私はそう言うと、貸してもらったハンカチを自分のカバンに入れた。

「あ、いいのに。ナツミさんの涙がついてるまま置いておいた方が価値ありそうなんだけどな。」

カツヤは、あえて優しく笑った。

「ばっかじゃない。」

私もつられて笑った。


「少しだけ、公園で話していきませんか?」

カツヤは神妙な顔で、立ち止まった。

学校から駅に向かう途中にある、こじんまりとした公園。

普段は子ども達であふれかえってるんだけど、さすがにこの時間じゃ誰もいなかった。

「うん、いいよ。」

このまま、カツヤと駅で別れるのも、おかしいよね。

お互いにきっとココロのもやもやがあるはずだもの。

それに。

今は彼氏と彼女っていう間柄なんだもん。