カツヤの大きな手が私の手を包んでいた。

とても強く、温かかった。

なんだかわかんないけど、急に鼻の奥がツンとしてきた。

泣きそう。


誰かの前で泣くなんて、嫌いなのに。

気づいたら、頬に涙がつたっていた。


そんな私に気づいたカツヤが、そっとハンカチを渡してくれた。

カツヤって優しいよね。

そう思ったら、余計に涙があふれ出た。


校舎が見えてきた。

電灯がついて、そこだけが明るい。

部活帰りの生徒達もたくさんいる。

こんな泣いてる顔見られたくないよな。

それに。

今、カツヤと手をつないでる。


思わずカツヤの手をほどこうとした。

でも、カツヤはそれを許してくれなかった。

ただ、足早に生徒達の間を手をつないだまま抜けていく。

校内でもモテ男のカツヤだもの。

注目を浴びないわけがない。


怖くて顔を上げられなかった。