タイスケのお陰で?怒りの矛先が自分達にないとわかった二人は幾分表情が和らいでいた。

「はい。お忙しいのにすみません。」

急に律儀に挨拶をしたハルナ。

私は二人に少しだけ笑ってうなずくと、更衣室に向った。


更衣室で、部員ノートに名前や住所や連絡先を書いてもらって、マネージャーの仕事をざっと説明した。

っていっても、今日来ていきなりマネージャーやれってのは酷な話だから、当面の間は他の部員達と一緒にマネージャーの仕事をしてもらうことにした。

どうして、こんなに偉そうなのかって?

実は、タイスケが主将になって、私が女子のリーダー役を任されてしまったわけで。

だったら、もっと優しく私を扱ってほしいものだわよ。

ハルナの透き通るような白い肌を見つめながら、何度もため息が出た。


タイスケも、やっぱこういう子には優しいんだね。


部活が終わり、着替えて更衣室を出た。

部員達とぎゃはぎゃは笑いながら、道場の角を曲がると、そこにハルナとミズキが立っていた。

誰か待ってるわけ?

ハルナがじっと私を見てる。

思わず自分に人差し指を向けて「私?」ってジェスチャーをしてしまった。

ハルナはこくりとうなずいた。

部員達に、

「ごめん。新入生に少し話があるから、先行ってて。」

と言って、バイバイと手を振った。

「またね。ナツミぃ。」

「ほーい。また明日ー」

そして、くるりを向きを変えてハルナとミズキを見た。