「本気でマネージャーやりたいわけ?」

カツヤが目を丸くして私を見ていた。

さすがにハルナとミズキは慌てて私の方に視線を向けた。

「す、すみません。加藤ハルナです。よろしくお願いします!」

「あ、板東ミズキです。すみません。よろしくお願いします。」

挨拶すんの遅いっつうの。

二人とも緊張で顔がこわばって、赤くなっていた。

ふぅ。

嫌な先輩だよね。私ってば。

背後にいるであろうタイスケの様子を意識しながら、深呼吸をした。

「じゃ、こっち来て。」

私はつっけんどんに二人を更衣室に促した。

周りの新入生達、明らかにひいてる。

あー、やだやだ。

なんでこんな風になっちゃってるんだろ。

ハルナとミズキは二人で顔を見合わせて不安げな顔を見せた。

「おい。」

後ろで、タイスケの声がした。

下唇を噛んで、ゆっくりと振り返る。

口を真一文字に結んだタイスケが、腕を組んで立っていた。

「俺の大事な後輩だから、きちんとしてやってくれよな。」

な、何~?

俺の大事な後輩・・・ですか~?

あ、そう。

そういう風に、かわいい子は甘やかして、かっこつけた態度とるんだ。

ふぅん。

意外といらやしい根性してんじゃない。

「きちんとしてますけど。」

「あ、そう?ならいいけど。怖い先輩になんなよ。」

・・・。

むっかー!

どういうことよ。

じわじわと顔が熱くなっていくのがわかった。

「ナツミさん・・・。」

か細い声が横で聞こえた。

「すみません。俺が急にナツミさんにふっちゃったから。」

カツヤがしょんぼりとした顔で頭を下げた。

「全然、気にしないで。タイスケがいちいち気に障るようなことばっか言うからこっちもイライラしちゃって。あ、ごめんね。ハルナちゃん、ミズキちゃん。とりあえず、マネージャー入部の手続きするから、こっち来てもらえる?」