カツヤは少しうざそうな顔でタイスケの方へやってきた。

多分、見に来てる新入生の女子生徒達の注目が自分に集まってるっていうのをわかってるからだろう。

「なんっすか?」

クールにタイスケに尋ねる。

「あのさ、こいつ俺の幼なじみ。ハルナっていうんだ。」

ハルナちゃんは愛らしい笑顔でぺこりと頭を下げた。

カツヤも軽く会釈。

「で、この隣にいる子がミズキちゃん。二人ともマネージャー希望だって。」

ミズキちゃんは明らかに動揺してる。

カツヤのこと、相当気に入っちゃってるんだろうね。

カツヤはそんなミズキちゃんを一瞥すると、タイスケに向き直った。

「マネージャー希望だったら、ナツミさんに言っておきますよ。ナツミさぁん!」

へ?

いきなり私にふる?

カツヤは、私の方を向いてニコリと笑った。

タイスケの表情が明らかにこわばった。

ひゃー。

頼むよー、カツヤ。

確かに一応、剣道部の女子ン中ではまとめ役で通ってるけどさ。

週末のこともあんだし、タイスケとは気まずいってことぐらいわかってるでしょー。

なるべくタイスケの顔を見ずにカツヤの方へ歩いていった。

「じゃ、カツヤ後はよろしくな。」

私がたどりつくなり、タイスケは吐き捨てるようにそう言うと、わざとらしく大きく伸びをしながら、また道場の奧の方へ行ってしまった。

な、なによー。

そんな冷たい態度しなくたっていいじゃない。

不覚にも、そんなタイスケの態度に、胸が押しつぶされそうなくらいショックを受けてる自分がいた。