時計を見ると、もう映画が始まる時間15分前だった。

「ちょっと、タイスケ!ゆっくりしすぎだよ。映画始まっちゃわない?」

私は慌てて、立ち上がった。

タイスケは悠長にまだコーラをすすりながら、ゆっくりと腕時計を見た。

「あ。ほんとだ。」

「『あ、ほんとだ。』じゃないわよー。早くいこっ。」

だってさ。

この映画、私見たかったんだ。

タイスケはあまり乗り気じゃなかったけどさ。

「あのさ。突然なんだけど。」

「何よ。」

「今日は映画辞めて、本屋行かない?」

本屋?

なんでまた。

「早速、お前のK大猛特訓用問題集を買いに行きたいと思ってさ。」

はぁ~?

まじで言ってるの?

私、まだK大目指すなんて一言も言ってないんですけど。

「俺もさ。ちょいと気になる問題集があるから、ついでに見たいってのもあるし。」

「あのさー。いくらあんたがこの映画気乗りしないっていってもさ、それはないでしょー。」

そうよ。

だって、私は観たいんだから。