いつもの調子でガハガハ笑いながら、その可憐なハルナという子の前に立った。

さっきまでハルナちゃんのことを噂していた後輩男子達も息を呑んでその様子を見守っている。

は??

あんなかわいい子が知り合い?

「まさかハルナが剣道部はいるなんてことはないよな。」

タイスケは軽くハルナちゃんの額をこづいた。

・・・そんな親しいわけ?

「まさか、タイ兄ちゃん。私が剣道なんてできるわけないでしょう。」

ハルナちゃんは頬をピンクに染めて、小さな声で笑った。

・・・タイ兄ちゃん?

ってタイスケのこと?

「で、何しにきたわけよ。」

「マネージャー・・・だったらできるかなぁと思って。」

「お?マネージャー?!」

「だって、前タイ兄ちゃん、剣道部にマネージャーがいないって嘆いてたでしょ?」

「あ、そうだっけ。いやいや、ハルナみたくかわいい子がマネージャーやってくれるんだったら、皆大歓迎よ。」

「あは。じゃ、お願いしちゃおうっかな。で、この隣にいる子はミズキっていうんだけど、この子もマネージャー希望なんだ。いいかな。」

「おっ。どうも。俺タイスケ。一応、4月から部長やってっから。よろしく。」

ミズキという子は、緊張気味の様子でぺこりと頭を下げた。

そして、ハルナちゃんはタイスケの耳元を引き寄せて、コソコソと何か話した。

何?!

タイスケはチラッとカツヤの方を見た。

何なに?

タイスケはニヤッと笑って、ミズキちゃんにうなずいた。

ミズキちゃんは恥ずかしそうにうつむく。

「おおい。カツヤ。ちょっとこっち来てくれよ。」

カツヤは前髪をかき上げて、タイスケの方を見た。

一瞬、新入生の女子達がざわめいた。

やっぱり。

お目当てはカツヤだったんだ。