更衣室でさくっと着替えて、私も道場へ向った。

タイスケとカツヤ以外にも、既に何人かの後輩男子達が道場で準備体操をしていた。

後輩達は、これまた明らかに新入女子達の存在を意識しまくってる。

誰も、君らなんて見てないっての。

吹き出しそうになりながら、お面と竹刀を下に置いた。


「あの子、めちゃかわいいよな。」

後輩達のひそひそ声が聞こえてきた。

「そうそう。俺もそう思ってたよ。あの一番右端の子だろ?」

「おお。あんなかわいい子見たことないよな。」

「あの子、マネージャーとかやってくんないかなぁ。」

「ほんとほんと、そしたら、俺絶対部活さぼらないのにさ。」

ちっ。

何ふざけたこと言ってんの。

心の中で後輩達の会話を舌打ちして聞いていた。

一番右端?

ちょっと気になって、顔を上げた。


ははぁん。

確かに。

なんていうの、全体的に色素が薄いっていうか。

天然で薄い茶色の髪の色。

ふわふわっとしていて。

色白で、瞳が薄い茶色で。

頬がピンクに染まってて。

手足が細くて。

お人形さんみたい。

男子達が釘付けになるのも無理はない。

「可憐」という言葉は、彼女のために作られたのではないかと思うほどだった。

私がいくら逆立ちしたって、整形したって、到底たどり着けないタイプ。

いいよねぇ。

一度はあんな風になってみたいものだよ。

それにしても、あの子は誰目当て?

やっぱりカツヤ?


「よっ。ハルナじゃんよ!」

そう威勢のいい声で、その可憐な女子に近づいていったのは・・・

紛れもなくタイスケだった。