お昼までまだ1時間もある。

こんなんじゃ勉強なんてできやしない。

タイスケはどこへ行ったの?

カツヤに、私とだったら女を意識せず勉強に集中できるなんて豪語してたくせに。

結局、前も今回も集中できないのはタイスケじゃない。

それって・・・。


ひょっとして、私のこと意識してるってこと?!


あはは。まさかね。

あれだけ私を「ダチ」だって大きな声で言うんだから。


あー。

もうあれこれ考えるのはやーめた。

このままじゃ、私まで自滅しちゃうよ。


力が入らない手で問題集をめくった。

「ナツミさん・・・。」

後ろでちいさな声が聞こえた。

振り返るとカツヤが立っていた。


「え?どうして・・・。」

び、びっくりしたー。

夕方に迎えにきてくれるんじゃなかったっけ?

「あ、すみません。なんだか二人が気になって、結局図書館の外で時間つぶしてました。」

「あ・・・そう。」

「そしたら、タイスケがさんがすごい表情で出てきて。」

そっか。

それで。

「俺もすごい目で睨まれて。とりあえず気になってナツミさんのところへ来ちゃったんです。勉強の邪魔だったら、俺また後で出直すけど。」

「いや、丁度よかった。」

「え?」

「なんだか勉強に集中できなくてさ。少し早いけど学食に食べに行かない?」

「あ、いいですけど。」

カツヤは腑に落ちない表情でうなずいた。