「ちぇ。」

横でタイスケが舌打ちする。

タイスケの貧乏揺すりは止らない。

そして、急にわざとらしく音をたてて問題集を閉じる音。

椅子をひいて立ち上がる音。

カバンに問題集や参考書を無造作につめこむ音。

そして、タイスケはでかい足音をたてて、図書館を出て行った。


な、なによぉ!!


あまりにムカムカして、タイスケの後ろ姿を見る気分にもならなかった。

もう、どうでもいい。

私は私で勉強するんだから。

カツヤはきっと応援してくれてる。

だから、がんばらないと。


シャーペンをにぎって、広げた問題集の文字をなぞる。


・・・。

全く頭に入ってこない。

くそー!

タイスケのせいだ。

大体、タイスケがカツヤを説得した内容自体、イライラしたんだもん。

あんなに私を女性として意識してないだなんて言うことないじゃん。

もっと他に言い方ないわけ?

長いつきあいなんだから、友達としてだったとしても、もっと大切な扱いできないの?!

あー。

こんなだったら、カツヤも一緒に勉強する方法をとればよかった。

タイスケに頼んだのが間違いだったよ!


出てくるのはため息ばかり。

こんなんじゃ、勉強なんてできやしない。

時計を見ると、まだ11時すぎだった。