タイスケの横の椅子に座って、テーブルに突っ伏した。

出るのは長いため息。

ホッとした気持ちと、複雑な気持ち。

「俺に何か言う事ないのかよ。」

横でぼそっとタイスケがつぶやいた。

ゆっくりと顔を上げる。

タイスケは私の方を見ずに、既に問題集に目を落としていた。

ふん。

結局、早く勉強したいわけだ。

「ありがとね。とりあえず。」

私はそう言うと、バッグから問題集と参考書を引っ張り出した。

「なんだよ。それ。」

タイスケが不満そうに私の方を向いた。

「え?何か問題でも?」

あえて、白々しく言ってやった。

「はぁ?お前がきちんとカツヤを説得できなかったから、俺がわざわざ説明してやったんだぞ。しかも『とりあえず』ってなんだよ。」

「じゃ、『とりあえず』は撤回するわ。助かりました。これで勉強できます。ありがとうございました。」

バカ丁寧に頭を下げる。

「ちぇ。気にいらね。」

何よ。

私だって、気に入らないっての。

でも、まさかそんな事を言うわけにもいかず、黙ったまま問題集を広げた。