ピンポーン
玄関のベルを鳴らすと
はーい、と優しい女性の声がした。
「こんにちは。花香ちゃんね。
私は真理子の姉の千鶴子。
今日からよろしくね。」
千鶴子おばさんは
母に似て、綺麗な顔をしている。
リビングに行くと、おじさんと息子さんがいた。
「夫の誠と、息子の和紀よ。」
おばさんが紹介すると
おじさんと和紀さんが会釈した。
「花香ちゃん、おじさんをお父さんだと思ってなんでも頼ってくれよ。
和紀もシャイだけど優しいヤツだから。」
おじさんが和紀さんの頭をくしゃくしゃすると
和紀さんは何やらブツブツと文句を言っていた。
本当にシャイのようだ。
なんだか良さそうなうちで良かった〜。
このときの私は、この家でこれから起こる出来事に
まだ気付きもしていなかった。