門を入ると、右が中学、左が高校、正面が大学の校舎になっている。


「じゃあ、またね」


恥ずかしそうにヒラヒラと手を振って

おにいちゃんは去っていった。



「ちょっと!花香!!今の人誰よ!!!」


「うわぁっ…あっ、美結ちゃんおはよう」



「おはようじゃないでしょう!!」


突然現れたのは、親友の美結。


「おにいちゃんだよ。
じゃなかった…いとこ。」



私は教室に行く間、美結にこの数時間の話をした。


「あんた…大変だったのね」


美結は私に抱きつくと

ワーワーと泣くフリをした。



「みんな良い人だし、大丈夫だよ。」


美結は、それなら良いわ、と言うと

他愛もない世間話を始めた。