帰り道みんなで花火について話してたけど、はっきり言って何にも聞いてなかった。


というより、頭に入らなかったって感じ。


「紅〜?もう帰るけど?」


「あ……ごめんっ」


「も〜大丈夫?じゃあ結木くんと紅はあたしたちと反対方向だから結木くんに送ってもらって。じゃあまたね〜」


…………えぇぇぇえぇぇ!?


という心の叫びも見事に届かず、あたしたち以外の男女は帰って行っちゃって……


あたしと結木くんは沈黙。


人が流れで歩いて帰っている中、止まっているのはあたしたちだけ。


みんながあたしたちに振り返る。


まぁそりゃあ美男子がいましたからね。当然といえば当然なことで。


「送ってくよ。夜に一人じゃ危ねぇだろ?如月は可愛いからなー襲われちまうしなっ」


そう言って笑った結木くんに、あたしは見とれてしまった。


「……ありがとう」


多分この瞬間、あたしは恋をしたと思う。


達以外の人に初めて。


なんか新鮮過ぎて感覚が鈍ってたのかもしれない。


今思うと、あの時は結木くんがきらきらして見えたんだと思う。