「あたしが結木くんの傍にいたら、結木くんがダメになっちゃうと思うよ……?あたしなんかで……」


「何言ってんだよ!それでもいいんだよ。俺はそれだけで超満足!」


「本当……?」


なんだか優しくされてあたしが切なくなってきて、涙が目に溜まってきた。


その涙の中には、達とはもう関係を持つ可能性がなくなったから……長年の片想いが崩れた気がして、っていうのもあったんだと思う。


「……そんな上目で見んなよ〜」


上目っていうか……身長差があり過ぎて仕方なかったのに。


風の音も人の声も聞こえない、静まり返った土手の道。


なんかこういう展開は初めてだったから、かなり緊張したな。


静か過ぎて、あたしの鼓動が聞こえそうで。


「あたしのことは紅でいいよっ」


「ん、わかった。じゃあ俺は和でっ」


和かぁ……なんかそれだけでちっちゃいことなのに、顔が真っ赤に火照って。