そして妙に香水臭いここは車内。

走り始めて15分程経っただろうか、ここはどの辺りだろう?

目隠しをされ何も見えん。

目隠しと言ってもアイマスクなのだが。

もう少し金をかけても良いんじゃないか?
アイマスクって……。

いや、良いけどさ……。

そんな事よりも。

どこへ向ってるのか。
問題はそこで、今の内に予想を立て、覚悟を固めよう。

最悪のパターンを想定しておけば、何か良くない事態に巻き込まれても、衝撃は少なくて済む。

俺がいつも使う手であり、この世の真理だ。
その内教団でも立ち上げられるかも知れん。

教祖、神代ユキ。
良い響きじゃないか。

信者1号は、かえで。
2号はトシだな。

3号以下はどうするか。
何せ友達が少ないからな、俺は。

携帯のアドレス帳の登録件数は、2桁に達して無い上、5か月前の着信記録だって残ってる。

どんだけダメ人間なんですか。

自分の事だがな。

「着いたわ」

聞いた事の無い女の声がそう言った。
ポニーテールのあの女の声だろう。
そういや初めて聞く訳で。

……はっ!
しまった……。

まだ最悪パターンの想定をしていないじゃないか……。

これぞ最悪のパターン……。