「キモいんだけど…離して?」

「またまたぁ…行くよ」


駄目だ…もがいても、力が強くて離せない。



マジでやばい状態に、あたふたしていた時だった。


突然、オヤジが頭を抱えてうずくまっている。


「あ〜わりぃなぁ。なんかゴミが見えたから。」


そう言った男は、高級そうな黒いスーツに身を包み、スラリとした手足をしていて、暗くて顔がよくみえない。


「水越高校の生徒だろ?早く帰れな?」

耳障りのよい声が、耳をくすぐっていた。


「まだ、おじさんそこにいるの?早く消えないと、警察突き出しちゃうよ?」


その言葉を聞いてか、頭を押さえながらオヤジは、ネオン街に消えていった。


「君も、こんな遅くにいたら駄目だろ?明日も早いんだ。ちゃんと帰れよ?」


助けてくれたのは、有り難いんだけど。


やっぱり、素直に家に帰る気はしないよ。