最後の一枚が無事、海野先生に渡る頃には、終了の合図のチャイムが鳴り出す。
その合図とともに、一斉に教室はリラックスムード。
やっと退屈な時間も終わったってホットしてる時、予告無しに海野先生が私の席へ
ツカツカとやって来た。
訳がわからずキョトン顔。
無論、その他の視線はこっちに注ぎ込まれている。
「確か・・美香・・だったけ・・?」
いきなりの呼び捨てにぶっちゃけムットする。
それでなくても気に入らないのに。
「だったら・・?何?」
「なぜ、白紙で出したんだ?」
「解らないから。」
「お前・・自分の名前も書けないのか?」
その言葉に、ひどく自分が傷ついたように、心臓がギュっと締め付けられる感覚がおそっていた。
「書けないわけじゃないよ。書きたくなかったから。」
一指し指でめがねを軽く持ち上げ、こちらを見ている。
先生・・こんな生徒相手にしてると時間の無駄だよ?
「わかった。」
それだけ告げると、それ以上何も言わず教室を出て行った。