わずかに残った花が
新たな緑と会話を交わす
その短いやりとりに
風が微笑む
枝の風景
迷い子は
見上げることしかできない
誰とも分かつことのない
日常
やりとりに困ることよりも
沈黙を選んでから
もう何年経ったのだろう
音色が脳に染み付いて
額に飾った
鮮やかな記憶を
焦げるほどに
焼き付けて
痛む胸に
泡を流し込む
素面でしかいられない
正直でしかいられない
肌を撫でる
強い風には
あらゆる人の
息づかいが含まれているから
だから