「すみませ~ん」
反対側のテーブル客から
声がかかり、マスターが向かうと
宮ちゃんはあたしの腕を引き寄せ小声で
「それで?
正直なところ どうなのよ?
まぁね、大体の予想はつくけど」
「...」
「でもね
それでどうにかなると思っているのなら
あんた、甘いわよ!!
...ったく
あんたのお兄さんも
どこでどう知り合ったのか
あんなやつら...
業界じゃ有名な会社よ
黒くて太いパイプが
あちこちに何本も
繋がっているらしいって...
奴ら相手じゃ、警察も弁護士も
あてにはならないわよ
奴らについて行ったら最後
骨の髄までしゃぶり取られて
二度とここへは戻って
こられないわよ...」
映画や、テレビの中のような話に
あたしの幼稚で世間知らずな頭は
全くついて行けない
だけど、さっきまでとは全然、違う
宮ちゃんの真剣な眼差しが
よく考えなさいと
あたしに忠告している
「ぁの..さ...
あまり大きな声じゃ
言えないんだけど...
あんたがもし...
あいつらの所に行く
覚悟があるのなら
あたし、いい金になる所
知ってるわよ
そこなら、その額の返済も
可能だと思う
あんたにはちょっと...
キツイと思うけど...
でも、そうでもしないと...」
いつも羨ましいくらい
言いたいことを
バンバン言う宮ちゃんが
珍しく口ごもる
「...何ですか」
「...マスターね
多分...
ここを売るつもりよ」
「...ぇ?」
「ここを売ったってね
たかが知れてるのに
見てらんないのね...
あんたが苦しむ姿を...」
こちらの様子を気にかけながら
マスターは反対側のお客と
談笑している
「こんなこと
言いたくないけど...
ここがなくなると
あたし、困るのよ...
お兄さんが作った借金で
あんたが苦しむなんて
理不尽なことだけど...
理不尽なことなんて
世の中、山ほど
転がっているものよ
あんたの為に
共倒れ覚悟の人がいるという事を
知っておくことね」
まだ、あどけなさの残る
幼ない乙羽の横顔に
キツイ一言を浴びせた宮ちゃんは
罪悪感に戸惑いながら
タバコに火をつける
「オイッ!! 宮坊!!」
何かに気付いたマスターが
カウンターの中から
鋭い眼差しで睨みつける
「ブホッ!!
ゥホッ、オホッ!!」
「お前、乙羽ちゃんに
変なこと吹き込んだら
承知しねぇからな!!」
マスターが怖い顔で釘をさす
「チョット!!
宮坊って呼ばないでって
言ってるでしょう」
宮ちゃんは
顔を真っ赤にして怒る
「乙羽ちゃん、大丈夫だよ
ちゃんといい方法を
探してあげるから
一人で考え込むな
腕のいい弁護士さんも
捜してやるから...」
そう言いマスターは
乙羽の目の前に
クマの絵が描かれた
カフェオレを差し出した
「ありがとう マスター
カフェアート上手くなったね」
「そぅか♪」
「ぅん
ちゃんとクマに見える」
「ブハッ!!
ちょっと、あんたってば!!
かわいい顔に似合わず
以外と失礼ね~
一体、以前は何に
見えてたっていうのよ~」
「クス...」
間髪入れずに
チャチャを入れてくる宮ちゃんに
あたしがクス..と笑うと
本当、まだ、ほんの子供ね...
こんな小娘一人
遺して逝くなんて...
ご家族もきっと
相当、無念だったでしょうね...
フゥーフゥーと
カフェオレを冷ます
無垢な乙羽を見つめながら
宮ちゃんは深い
ため息を吐き出す
反対側のテーブル客から
声がかかり、マスターが向かうと
宮ちゃんはあたしの腕を引き寄せ小声で
「それで?
正直なところ どうなのよ?
まぁね、大体の予想はつくけど」
「...」
「でもね
それでどうにかなると思っているのなら
あんた、甘いわよ!!
...ったく
あんたのお兄さんも
どこでどう知り合ったのか
あんなやつら...
業界じゃ有名な会社よ
黒くて太いパイプが
あちこちに何本も
繋がっているらしいって...
奴ら相手じゃ、警察も弁護士も
あてにはならないわよ
奴らについて行ったら最後
骨の髄までしゃぶり取られて
二度とここへは戻って
こられないわよ...」
映画や、テレビの中のような話に
あたしの幼稚で世間知らずな頭は
全くついて行けない
だけど、さっきまでとは全然、違う
宮ちゃんの真剣な眼差しが
よく考えなさいと
あたしに忠告している
「ぁの..さ...
あまり大きな声じゃ
言えないんだけど...
あんたがもし...
あいつらの所に行く
覚悟があるのなら
あたし、いい金になる所
知ってるわよ
そこなら、その額の返済も
可能だと思う
あんたにはちょっと...
キツイと思うけど...
でも、そうでもしないと...」
いつも羨ましいくらい
言いたいことを
バンバン言う宮ちゃんが
珍しく口ごもる
「...何ですか」
「...マスターね
多分...
ここを売るつもりよ」
「...ぇ?」
「ここを売ったってね
たかが知れてるのに
見てらんないのね...
あんたが苦しむ姿を...」
こちらの様子を気にかけながら
マスターは反対側のお客と
談笑している
「こんなこと
言いたくないけど...
ここがなくなると
あたし、困るのよ...
お兄さんが作った借金で
あんたが苦しむなんて
理不尽なことだけど...
理不尽なことなんて
世の中、山ほど
転がっているものよ
あんたの為に
共倒れ覚悟の人がいるという事を
知っておくことね」
まだ、あどけなさの残る
幼ない乙羽の横顔に
キツイ一言を浴びせた宮ちゃんは
罪悪感に戸惑いながら
タバコに火をつける
「オイッ!! 宮坊!!」
何かに気付いたマスターが
カウンターの中から
鋭い眼差しで睨みつける
「ブホッ!!
ゥホッ、オホッ!!」
「お前、乙羽ちゃんに
変なこと吹き込んだら
承知しねぇからな!!」
マスターが怖い顔で釘をさす
「チョット!!
宮坊って呼ばないでって
言ってるでしょう」
宮ちゃんは
顔を真っ赤にして怒る
「乙羽ちゃん、大丈夫だよ
ちゃんといい方法を
探してあげるから
一人で考え込むな
腕のいい弁護士さんも
捜してやるから...」
そう言いマスターは
乙羽の目の前に
クマの絵が描かれた
カフェオレを差し出した
「ありがとう マスター
カフェアート上手くなったね」
「そぅか♪」
「ぅん
ちゃんとクマに見える」
「ブハッ!!
ちょっと、あんたってば!!
かわいい顔に似合わず
以外と失礼ね~
一体、以前は何に
見えてたっていうのよ~」
「クス...」
間髪入れずに
チャチャを入れてくる宮ちゃんに
あたしがクス..と笑うと
本当、まだ、ほんの子供ね...
こんな小娘一人
遺して逝くなんて...
ご家族もきっと
相当、無念だったでしょうね...
フゥーフゥーと
カフェオレを冷ます
無垢な乙羽を見つめながら
宮ちゃんは深い
ため息を吐き出す