私は動く事もできずに、ただボーッとして座っていた。
しばらくすると、私の前に白いステーションワゴンが停まった。
誰かが降りて、こっちに歩いてくる。
けど私は、それが誰かなんて確認する事もできなかった。
ただずっと一点を見つめていた。
「…愛…。」
上から声がした。
けど、私は上を見る事ができない。
「愛!」
さっきより大きな声で、そして今度は目の前で
その声が聞こえた…。
私は、その声にビクッとし、ゆっくりと声の方を向く。
「…ゆ…すけ…せんせ……。」
先生を見た途端、またポロポロと涙が頬を伝っていった。