――中学生の頃




「直弥先輩、好きです!」


頭を下げて、右手を差し出す

見た事もない後輩。



「ごめんね‥‥。」


「いえ、急にすみませんでした。」


そう言って走り去っていく。



なぜ見ず知らずの後輩が

告白してきたか、


だいたい予想はつく。






〝顔〟






なんでか見た目には恵まれた。


でもそれは私の心を荒ませる。




「直弥はモテていいな〜!」

そう言ってくれる友達は

嫌いじゃない。


羨ましがられるのは

やっぱり嬉しい。


でも好かれる要因が

外見だけっていうのは

中身が全否定されたようで



私は自分を憎む。






中学時代の恋なんて

しょうもなかった。


皆一様に私の外見しか

見ていなかったんだ。




もちろん、

私を救い上げてくれるヒーローは

現れなかった。




出て行ったお父さんも

帰って来なかった。