「実莉…。あのね。
言おうか言わないか迷ったんだけど、やっぱり聞いといて貰った方がいいと思って。」
何だろう。
いつに無く神妙な面持ちだ。
「うん…。」
一言だけ頷いて、次の言葉を待つ。
「歩なんだけど。
歩は実莉に、わざわざ言わなくていいよ。って言ってたんだけど…。」
言い辛い事なのか、言葉を詰まらせている。
きっと私の心に引っ掛かっていた、歩の笑顔。
その意味が分かる話なんだろうと、察した私は黙って希美を見る。
「土曜日、私が実莉にデート?
って聞いた日に、私も歩からちゃんとに聞いたんだけど、
歩ね小学生の頃から、別々の中学校に行ってもずっと、高島君の事好きだったんだって。」
私は驚いて言葉がでなかった。
ずっと…。
高島君の事を?
動きの止まった私の目をちゃんとみて、希美は続ける。
「まぁ中3の時は、他に好きな人出来たみたいなんだけどね…。」
そう言って、固まったままの私の手を引いて
また歩き出す。