私は暫くの間、本当に声を失った。
ただ涙だけ溢れて来る。
高島君はその間、ずっと黙って私が喋るのを待っていてくれた。
「気をつけるから…。
別れたく…ないよ…。」
やっとで喋った私。
それだけ言うと、更に涙が溢れ出す。
でも、高島君はなだめる様にゆっくり、でもハッキリと私に話す。
『実莉…。
そんなに泣かないで…。
想ってくれるのはうれしいよ?
でも、気をつけて過すんじゃ意味がないんだよ…。
実莉は毎日電話したり、メールしたりしたいのに俺はそういうのが苦手で、どっちかが我慢しなきゃいけなくなるよ?
それじゃ、幸せじゃないよ。
好きになったら好きになっただけ、相手が我慢してるのが分ってるのに応えられないのは辛いよ。
実莉には、自然に毎日気にしてあげられる人の方が良いんだと思うよ。
俺には出来ないから…。
ゴメンな…実莉。
俺から付き合ってって言ったのに。
今日までありがとう。』
「うっ……。
やだよ…。
別れたくないよ…。
私電話しないのも、メールも辛くないよ…。」
もぅ溢れる涙も、鳴き声をあげる事も押さえられなかった。
子供がだだをこねるみたいに、泣きじゃくる。