「あっ待ってなぉ。
こっちの階段からいこ?」
「あっうん。
そうだねっ。」
最短ルートで行こうとしていたなぉは立ち止まって、ハッとして答える。
私が言いたい事は解ってくれたみたい。
最短で行くと、高島君達の教室の前を通る。
でもこっちの階段から行けば、遠回りだけど会う心配はないはず。
高島君にも、英美ちゃんにも
今は、直接会いたい気分じゃない。
2人とも黙ったまま、1階まで降りて行って、通路から管理棟に入る。
四時間目前の短い休み時間なせいか、移動教室の人意外に人影があまりない。
ひんやりというより、廊下は冷えて寒い。