「いらっしゃいませ!プレゼント用の花束ですか?」


私は店員のはりのある声にはっとなった。

まるでシャボン玉がパチンと弾けたようだった。


「…はい。プレゼントの花束を。男性に渡すんですけど。」

「送別会とか何かのお祝いですか?どういったイメージにしましょう。そうですねぇ 若い男性なら………」


私は店員の話は上の空で 今会った人の事を考えていた。

たった今 花屋の前で会うまで思い出すことはなかったのに。

また会うなんて。


あの人を見た瞬間 時間が止まったような感覚がした。

会話をした時 胸がドキドキした。

見ず知らずの どこの誰かもわからない もう二度と会わないかもしれない人なのに。