すると彼女も驚いた顔をした。

自分のすぐ後ろで固まっている変な男に驚いたのか…僕に気付いたのか…どっちかはわからないが。


一呼吸おくと 彼女はためらいがちに僕に近寄ってきた。

「あの…先日はありがとうございました。ほら 駅のホームで。覚えてますか?」

僕はたった今彼女に気付いたふりをして答えた。

「あー!この前の!もちろん覚えてますよ。コーヒーご馳走様でした。」

「あの時は本当にどうしたらいいかわからなくて。缶コーヒーなんかのお礼ですみませんでした。」

「いや こちらこそ。コーヒー飲んで体が温まりましたから。」