いつも僕の会社に行く時は西口から出るのだが 今日は反対の東口だ。


彼女も東口から出るようだ。

僕は彼女との間に一定の距離を保てるように ゆっくり歩いた。


駅の外に出ると もうすっかり暗くなっていたが 人の多さは変わりない。

不思議な事に 彼女は僕の向かう先を知っているかのように 前を歩いて行く。

これじゃまるで…僕が後をつけてるみたいだな。


いい香りのする花屋の横を5メートル程過ぎた所で突然彼女が振り返った。

まさか振り向くと思っていなかった僕はすっかり油断していた。

ビクッと立ち止まり 驚きの表情をまともに出してしまったのだ。


わっ!うそだろ!?