「優っ・・・!綾乃ちゃんが・・・
私を・・・」

泣きながら優に抱きつく。

きっと優はまた沙羅さんの
背中に手を回すだろう。

もうこの光景は見たくない。
あたしは顔を背けた。

「・・・離れて沙羅」
「優・・・!?」

優は沙羅さんを離れさせて
あたしのほうへ来た。

そして右手を上げた。

あたしは目を閉じ歯を食いしばった。
でも痛みは感じない。
優はあたしを引き寄せた。

感じるのは優の温もり。

「優っ!?どうして綾乃ちゃんのとこなの!?
私・・・叩かれそうになったのに・・・」

「沙羅、俺は沙羅が好き。
ううん、好きだった」

優はあたしを抱きしめたまま言った。
本人を目の前にして言うのが辛いんだと思う。

ってか好きだった!?
優ー?過去形ですよー?
心の中で突っ込みながらあたしは切なさで
心がいっぱいだった。

「だったらー」
「でも俺は、自分をおもちゃだと
思ってる人とは一緒にない」
「っ!」
「もう・・・俺の前に現れないで」

沙羅さんは怒りからか聞かれたことからの
恥ずかしさか顔を赤らめながら
走り去っていった。