「坂田が好きなのは、あなたなの。
桜井春」

きょとんとした顔をして、自分を
指さす桜井春。

「え?わたし?」
「そう、あなた」
「あの人のこと、全然、知らない」
「あなたのことは、皆、注目してるよ」
「え?ほんとですか?きゃあ」
「きゃあって、ポジティブ~」
「でも、完全にネガです。だって、私。
 もえ王子が好きだったんですよ」

→だった。
ともう、過去の人。
桜井春は、見かけによらずサバサバした
女である。

「それが、残念なお知らせってことですか?
 え?意味、分かんない」
「どうして? 失恋してんだよ。こっちも
 あっちも」
「つか、こっちもですよ! 先輩」
「そ、そうか。ごめん」

何、何、何よ。
急に泣きそうな可愛い顔して。
ウルウルさせて。
こういうこと?
生身の男どもよ~。

「告白しに行きましょう!」
「え?」
「先輩! あの人は、私が好きなんでしょ。
 だったら、私みたいになればいいんじゃないでしょうか?」
「え?え?え~? あなたってナルシスト」
「女は皆そういう生き物です。さあ、そうと決まれば
 家に来て~。あっ、今から私は、先輩の師匠ですから」
「し、師匠」

ということで、坂田との 
けんかBUT 桜井師匠と恋の修行と
なったわけです。