「やめて~見ないで」

ジタバタする私に容赦なく
包み紙をキレイに剥がし
マイ手作りチョコを見つけて
しまった名探偵桜井春。

「ふふふ。王子も女なんだね」
「だから、男が好きって言った
じゃない」
「あの、良くも悪くもない、地味な
男の人ですよね。なんで?」

きゃあ、可愛い顔して、また酷いことを。
ピンク色の桜井春は、ちゃんと黒い
2Bくらいの芯が入っておりますよ~
 坂田!目を覚ましておくれ。

心の叫びは、私の顔を真赤に染めた。

「仕方ないでしょ。だって」
「好きなんだもん。王子~」

ふわふわの柔らかい手が、私に重なった。
ホワイトデーにはこんなマシュマロな手が
欲しい。

なんて、桜井春に惚れてる場合じゃない。

「好きなんでしょ! あの人のこと」
「でも、でもね、桜井春。残念なお知らせが
あるのよ」
「何?なんですか? 先輩」

冷めたカフェオレで一気に、熱い体を冷まし
私は、桜井春に真実を告げようと決めた。

だって、私の愛い奴なんだもん。
あかさかたは。