「もう、離れてくんない?」
「あっ、ごめんなさい。もえ王子」
ピンク色の桜井春は、私から離れる
しぐさもとっても恥じらいながら
可愛くて仕方なかった。

生身の女子でさえ、ずるいって
思うのに、生身の男子はしんぼう
たまらんって怒るのもわかる。

真赤な顔で怒りの男叫び。

「あの人、誰ですか?」
「え?知らないの?」
首を振る桜井春。

坂田。
悪い…ご愁傷様。

いっつも、あんたを好きなる
おなごは私を見ていてアウトオブ坂田
なんだよね。

でも、私は奴を見ているのに。

「王子の好きな男?」
「うん。…え?、え~え?違うよ」
「え~、そうなんだ」
「違うってば」
「やだやだやだ、春、絶対、嫌です」
「違うってば」
「でも、でも、好きなら追っかけないで
いいんですか?」
「だから~」
「なんか、がっくり。王子、男の子として
見たらかっこいいけど。女子としては
かなりレベル低い」
さっきまで、きゅんきゅんした声を
だしていた春の声が急に引き締まった。