ヒラヒラと坂田の膝の上に落ちた手紙。
「おいおい、ラブレター付きかよ。うらやまし~」
坂田は、その手紙を開けるや否や顔が赤くなった。

ザ・ビンゴ。

桜井春のこと、やっぱりこいつ好きなんだ。
リトマス試験紙のように、いつもいつもわかりやすく
そして、玉砕される坂田の恋。

恋がたきは、なぜか私。

「はあ、なんでだよ。なんでなんでなんだよ」
「何が?」
「なんで、春ちゃん、お前なんだよ」
「知らないよ。こっちだって迷惑なんだって」
「ガタい!がたいがたい!信じ難い。なんで
 もえなんだよ!男女」
「女女だってば~。ふんだ!帰る」

なぜか、ラベンダー色の紙袋はそのままにして
チョコには手をつけず、ただただ頬を赤く染める
坂田が私は愛しい。

小五の時から、奴が好きだった。
私が転校してきた時も、今みたいにちょうど窓際の
一番前の席に座っていた。

その年のバレンタイン。
私は、坂田にハート型のチョコを渡そうとしたが
坂田は違う女の子の前で顔を真赤にしていた。

赤坂田。
あかさかた…。
それから、何度目だろう、赤い坂田を見るのは。

チョコの数はいつも私が勝っているのに。
いつも心は負けている。
チョコを坂田に渡せずにいた。