もう、夜の7時を過ぎていた。

美味しいにおいが色々な家から
ただよっている。

そんな時間に、私は、猛烈に
ドキドキマックスを迎えていた。

滑り台の下に隠れて桜井春が見守ってくれている。
変な展開、師匠になった私の恋がたき。
そして、今から告白するのは、彼女の恋がたき
だった奴。


坂田は私服で登場した。
ダサいコートとスウエット。
安心するコーディネートだ。
小5の時から変わっていない。

「え?え~!!」
「沢木だけど、何か?」
「どうしたの?その髪」
「ど、どうしたって。なんだよ」
「桜井春風味。何、色気づいちゃって」
「だって、好きなんだろ。坂田が」
「おうよ。でも、お前は桜井春じゃない」

一撃。
そうだ、私は、桜井春じゃない。

なんだか、空回りしてんの?
これ?
あれ?
師匠。

「ちょっと、あんた、ちゃんと先輩みなよ」
「桜井春。ど、どうして?」
滑り台から、飛び出て、坂田の胸ぐらを桜井春は
掴んで叫んでいた。