佐紀が、前方を見て、

佐紀 「あっ、あれは……」

梨沙 「そうだよ、港北、3人組だよ」

友理 「ホンマや」



向うから、華子達が来る

佐紀 「こんにちは」

華子 「あら、あなたたち」

歩美 「あんたら、県大会、行くの?」

佐紀 「はい」

里香 「いいわね。
    私達の、おこぼれで、行けるんだ」

華子 「里香! やめなさい。

    ごめんなさい。
    せっかくのチャンス、
    逃しちゃったもんだから」

佐紀 「残念だったですね」

梨沙 「あんたらのせい、違うじゃん」

歩美 「決まったことは、
    仕方ないと思うんだけどね。
    だけど……」

里香 「納得できないよ、こんなの」

泣きそうになる、里香

華子 「愚痴は、止めましょう。

    私達の代わりに出るんだから、
    優勝、狙ってよね」

歩美 「恥しい試合だけは,しないでよ」

里香 「頑張ってよ。でないと……」

華子は、軽く手を上げ、里香を制止する

華子 「もう、いいでしょう?
    行きましょうか」

佐紀 「じゃあ……」


去って行く港北の
後姿を、見送りながら

佐紀 「あれは、辛いよね」

梨沙 「でも、あのキャプテン、意外に、
    あっさりしてたじゃん」

友理 「陰で、泣いてんのかも」

佐紀 「そうだよ。そんなに、簡単に
    諦められるものじゃないよ」

梨沙 「そんな風には、
    見えなかったけどなあ」

小さくなった、港北3人の後姿を見る梨沙