俺は驚いて手を放そうとしたが、真琴はさらに力を強め放そうとはしなかった。




「アタシの心臓の音…感じる…アタシ…生きてる」



「生きてるよ…しっかり真琴の心臓の鼓動を感じる。」



「…しあわせって何かな…ねえ…マア兄」



「そうだな…そんなこと…解らないよ。俺にも。…お袋を死なせて…親も…肉親も…お金も…信用も…生きる意味も…全て無くして…ここに来て…俺は真琴に会った。

そして…真琴といれる時間だけが俺にとってしあわせみたいな気がしてた。

普段…気付かない何でもない普通のこと…

自分を分かってくれる人が傍にいてくれる…それがしあわせなのかな。」