俺は慌てて


「ゴメンこっちが本物」


と言って紙をめくり本当の真琴の似顔絵を出すと



真琴はまた言葉を失い目には涙をうっすら浮かべ…今度は



「よかった…マア兄にこんな風に見えてるのかって思ったら悲しくなって…

でも違ってて…よかった…

実物より綺麗に描いてくれても100円だからね…アタシ…これしかないから。」


と言って100円玉を差し出した。







真琴から貰った100円玉は…



俺にとってはお守りというか宝物だった。



死ぬまでずっと使わずに財布の一番奥に小さなメモ用紙に包んで入れていた。





俺が人生で初めて味わったちっちゃな…しかし最大のしあわせの値段は100円だった。