「いざとなると、小心者なんだ」


彼は情けない顔で笑って、あたしを優しく見つめる。


これって独身生活、最後の浮気になるの?


高鳴る胸とは裏腹に、そんな事を思う冷静なあたしがいた。


彼に対する想いは嘘じゃない。


でも、彼氏に対する想いも嘘じゃない。


彼氏が夫になるその日まで、この関係は続くの?


それとも1回きりの火遊びで終わってしまうの?


分からない。


分からないけれど。


彼との未来を想像して。


彼に抱かれる夢を見て。


今、この瞬間も。


彼にこんなにも、胸を切なくさせられている事は事実。


だからこそ。


本当はここへは来ちゃいけなかったんだ。