自慢じゃないけど、
今までこんな風にストレートに言われたことって実はないんだよね。
“好き”とか、そういう意味じゃないのは、よーくわかってる。
わかってるけど……気に入った。なんて言われたらドキッとしちゃうじゃん。
しちゃうよね!?
心の中で自問自答しながら、
少し赤くなった頬がバレないように再び俯くと
「じょ、冗談はやめて下さい」
精一杯、冷たい声で言い放った。
「……冗談じゃねーよ」
あたしの顔を覗き込み、
黒フレームから覗く真剣な目に、鼓動が速くなる。
え、え、え。
戸惑いを隠せなくなったあたしが、
ふと視線をあげると目に入ったのは真山君の後ろに見えた璃久だった。
一瞬合った目が、凄く冷たくて。
そのまま、とても自然に逸らされた目に心がズキッと大きな音を立てた。