「真山君? 大石さんって呼んでもらえるかな?」



ここは大人の対応をしなきゃ、ね。


高校生の時って生意気な時期だもん。

これくらいは仕方ないんだよ。

そう、相手は高校生。



「なんで?」

「なんで? って。それは……」



何でだろう?

初対面だから?

でも初対面っていうほど初対面じゃないよね。

さっきも喋ったし。

あ、仕事だからだよね。


あたしも皆の事を、さん・君ってつけてるもん。



「仕事だから、です!」

「……俺は仕事じゃねーけど?」



あ。
本当だ。

仕事なのは、あたしだけじゃん。

真山君は学生じゃんね。


じゃあ……何でだろう。



「……ぶはっ!」


考えるあたしの隣で、
お腹を抱えて必死に声を押さえて笑い出した真山君。

それをキョトンとした顔で見つめていると、



「そこは常識の問題じゃねーの?」



と、最もな答えを教えてくれた。