サ――――… 静かな音が聞こえて ふと窓の外を見た。 ああ、雨か。 そういや、降るって言ってたな。 俺は窓にもたれ掛かると 静かに降り続く雨をしばし眺める。 …よかったな。 これでまた お前は幸せな気分になるはず。 今でも、あの頃のお前でいるなら。 「げ、やべっ」 どうやら浸りすぎたらしい。 いつの間にか出勤時間になっていて 俺は背広と鞄を引っつかむと 慌ただしく家を出た。