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 1時間目の休み時間。

「なんだ~、言ってくれれば教科書かしたのに。はい」
 ユウキが、あくびまじりに教科書をわたしに差し出す。
「もう遅いっつーの」
 ナオがそう言って、教科書をユウキに戻す。
「さちがぼんやりしてるから悪いんだよ。甘やかしちゃだめ」

「ありがと、ユウキくん」
 ナオの言葉を素直に聞けずに、わたしはとりあえずユウキにお礼を言う。

 ユウキは、にっこりとわたしを見て笑う。
 子供のような邪気のない笑顔が、わたしは好きだった。