わたしの声に、ななめ前のナオが振り向く。
「どうしたの? さち」
 わたしは、あわてて教室の前に貼られている時間割を見る。
「1時間目って古文だよね? なんで」

 三沢先生が? 

 そう言おうとした、わたしの声をさえぎってナオが笑った。
「やだ、さち。時間割変更っていったじゃん?」
「え・・・・・・? いつ? わたし聞いてないよ」
 わたしがそう言うと、ナオがさらに笑顔で続ける。
「昨日。メールで送ったじゃん」
「・・・・・・・・・・・・」

 そんなメールは来なかった。