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 しん、と静まり返った生物室を見渡す。
 グラウンドに面した窓の外には、もう薄闇が広がっている。
 夕焼けが夜の訪れと交じり合って、きれいなグラデーションをつくりだしている。

 私は少しの間、その風景に目を奪われた。
 夜は嫌いだけれど、こんな風に美しいものを見られるなら、その訪れも悪くはないとさえ思う。
 
 そのとき、生物室に近づいてくる足音が聞こえた。
 しまった、と思ったけれど、もう遅かった。
 私はとっさに身を隠すことができなかった。
 田中が出て行ったときのままだったので、鍵は開いたままだった。
 ドアノブが回る。