すっかり気をそがれた私たちは、乱れた衣類を直し始めた。
 どうやら田中も続行する気はなくなったらしい。
 スーツの前ボタンを締めながら、田中は、あ、と呟いた。
「思い出した。学年会議だ。やべ、忘れてた」
 そんなだから、三沢に舐められるんだよ。
 私は横目で田中を見やる。
 
 田中は、スーツのポケットから生物室の鍵を取り出し、
「鍵、かけといて。明日俺に返してくれればいいから」
と、口早に言い、ばたばたと出て行った。