「何だよ、あいつ。驚かせやがって」
 心底嫌そうな顔で田中は続ける。
「俺、あいつ嫌いなんだよ。副担のくせに態度でけーし」
 違うでしょ。
 あんたが三沢先生を嫌いなのは、自分より良い大学出身で、若くて、背も高くて、顔もいいからでしょ。
 仕方ないよ。劣等感を刺激される相手を好きになれるわけがない。

「私も三沢先生は好きじゃない」
 私がそう言うと、田中は嬉しそうに頷いた。
「だろ?」