「・・・・・・でもさ~、最近、変な噂きいちゃった。何か、さち、カラダ売ってるって」
「噂でしょ。そんなわけないよ」
 私はきっぱりとそう言いきった。
「でも、クラスの子たちもそういうサイトで書き込み見たって」
「智子」
 私が軽く睨むと、智子はそれ以上は何も言わなかった。
 
 それでいい。
 封じられれば封じられるほど、また誰かにこっそりと言いたくなるものだから。
 
 どうしたの~?と前を歩くユウキ似の男が振り返った。
「二人で何の話?」
 なんでもなぁ~い、と智子が愛想を振りまく。
「あ、まだ名前聞いてなかったね。俺、トオル」
「あたし~、智子」
 
こっちを見たトオルは、やはりユウキに似ている。
二重まぶたの瞳や、すっきりとした鼻筋、顔のライン。
遠目から見れば、間違っても無理はない。笑ったときの印象は、なぜだか全然違うけれど。
 
私は極上の笑みを浮かべて、トオルを見上げた。
「私は直子。よろしくね、トオルくん」