「何にもないよ、悩みなんて」
 わたしの唇は、きちんと、そうユウキに言った。
 
 知られたくない。
 ユウキには知られたくなかった。

「なら、いいけど、さあ」
 明らかに納得してない様子で、ユウキは自分の頭に手をやり、ぐしゃぐしゃとかいた。
「あー・・・・・・、俺に言いにくいこととかだったら、ナオに相談するとかしろよ?」
 ま、何もなければ一番いいんだけど、と言って、ユウキはわたしの髪に触れる。

 わたしは、少し素直な気持ちになって、うん、と頷いた。